空手道 柴田和道会

全日本空手道連盟柴田和道会のブログです。

組手編 


組手の構え (エビ型 カニ型について)

組手の構えに、その立ち方で「エビ型」「カニ型」と呼ばれるものがあります。

エビ型は足先を両足とも前に向けるもので(後ろ足はななめ前)、カニ型は後ろ足をななめ後ろに向けるものです。昭和生まれの私のように、以前の組手はほとんどの選手が「エビ型」であり、常に「前へ前へ」の意識で、攻撃重視でした。体を伏せたりのけぞったりして相手の技をよけるのは反則で、武道家は「真っ正面から堂々と戦う」というイメージで皆試合をしていたと思います。しかし、2008年あたりからルールが変わり、ダッキング(体を前にたおす)やスウェー(体を後ろにそらす)が世界大会で認められるようになり、後ろ足を後ろに向けることでスウェーなどの動きが容易にできることなどから、カニ型が外国選手を中心に急速に広まったようでした。

数年前、NHKのBS「ザ・データマン +20度 KARATE勝利のカギはカニ型」という番組で、カニ型の有利な点を紹介していました。それによると
カニ型は体を真横にするので、相手が攻める範囲がせまい。
②体を後ろにそらしてよけることが、エビ型より容易。
③相手に届く拳の距離が伸びる。
④後ろに素速く移動できる。
⑤後ろ足を開いているので、前足の回し蹴りが出しやすい。

など、たくさんありました。柴田和道会でも、フットワークの練習や打ち込みなどでどんどん取り入れているところでした。ただ、必ず「カニ型で」というわけではなく、エビ型のよいところもありますので、色々工夫し自分に合う立ち方で行うことが大切だと思います。
 

    エビ型             カニ

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エビ型 攻撃される部位が広い カニ型 攻撃部位がせまい

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スウェーでは・・・

エビ型 後ろ足が窮屈       カニ型 体を倒しやすい

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かかとを前に出した分、カニ型の方が遠くまで拳を出しやすい。

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ノーモーションの突き 

組手試合で、「ノーモーションの突き」という言葉を耳にすることがあります。

一切の予備動作の無い突きのことです。ほんの少し、わきが開いたり肩が動いたりすることで、相手は攻撃を予測し防御されてしまいます。突きのときはできるだけ肩からではなく、拳先から出した方がポイントになる確率が高まると思います。

 

肩から出した突き  体重を乗せようとすると、このような突きになりがちである。 

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予備動作を少なくした突き スピード重視ならこちらの方がよい。

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刻み突き 

基本的に、相手が攻撃してくる前に、「先の先」で自分から先制する技。相手に最も近い、「拳」での攻撃であり、試合でよく使われる技である。 

①構え

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②初めの練習は、踏み込まないで突く。突いたらすぐ元の位置に戻す。脇をしめ、最短距離で技を出す。

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③立て拳なら、肘を締めて突きやすく、接近戦においては、技をぶれずに出しやすい。正拳、立て拳のどちらも使えるようにしておく。

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連続刻み突き 

一度に2回連続して突く。同じところを二度突き。浅く、深く。高めとやや低め等、工夫して突く。

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逆突き

初めは、足の位置を変えずに行う。中段は姿勢をやや低くし、上段はあごをねらう。

突いたら元の位置にすぐ戻す。前拳は、引かずに防御と次の攻撃に備える。

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ステップを使っての逆突き

相手から距離があった場合、両足ステップで間合いを詰め、攻撃する。詰める際は、できるだけ上下動をせず、相手に悟られないようにしながら一気に詰め逆突きを出す。

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引き手を取り、残心。次の攻撃に備える。

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ワンツー 

空手でワンツーと言えば、上段中段の連続した突きを言う。上段、上段。裏拳、逆突き。逆突きから刻み突きなど、多くのバリエーションがある。

相手から距離があるときは、前拳の直後に後ろ足を寄せ、深く逆突きを出す。 

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フットワーク 

①その場で上下動・・・ひざを柔らかくし、ひざに体重を乗せタメを作るイメージで上下動をする。前後の体重は5対5、かかとをつけない。前後左右斜め方向、どちらにもすぐ動ける心構えで。

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さばいての攻撃 

①蹴りをさばいての攻撃  

◇中段前蹴りに対して→すくい受けから上段逆突き

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◇中段回し蹴りに対して→中段をカバーしながら流し突き

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◇上段回し蹴りに対して→上段をカバーしながら流し突き

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◇中段突きに対して→左手で突きをさばきながら右上段逆突き

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※相手の攻撃技に対し、必ずこう反撃するという決まりはないので、自分に合う方法を各自工夫し練習しましょう。

 

スウェー

◇スウェーとは、上体を後方へそらすことによって、上段への攻撃をかわす技のことです。上体をもどし、攻撃につなげていきます。

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フェイント 

◇フェイントとは、「見せかける」という意味です。球技や格闘技などで、相手をまどわせるためにする動作を指します。

 クーシャンクーやニーセーシなど形の中にもフェイントの技があります。

 組手の試合で使われるフェイントの中から、代表的なものを紹介します。

①前蹴りと見せかけて、追い突き

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②中段突きを途中まで何度か出し、中段を意識をさせて上段突き

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