【武道に関する用語① 鏡開き】
剣道や柔道、空手など、年の始めの稽古は「鏡開き」と言われますがどういった
意味なのか。
お正月の間、年神様(一年の幸せや健康をもたらす神様)の居場所が鏡餅。松の
内が過ぎたら下げて食べ、年神様を送ります。鏡餅に刃物を使うのは武士の世界
の切腹を思わせるので禁物であり、手や木槌で「割る」と言う表現も縁起が悪い
ので、末広がりを意味する「開く」を使って「鏡開き」と言うようになったそう
です。鏡開きでお正月に一区切りつけるということは、その年の仕事始めをする
と言う意味があり、武道の世界でも新年の道場開きを「鏡開き」とよび、お汁粉
を食べたりするのはその名残だそうです。
【武道に関わる用語② 左座右起】
左座右起と書いて、「さざうき」と読みます。正座の仕方です。
正座をするときは、左膝から床に付けて座り、立つときは右膝を立てて、
立ち上がります。昔、武士が刀を下げ、いつでも刀を抜けるよう
にしてこの形になりました。空手に限らず武道の正座の基本です。
ただ、流派によっては相手に対して敵意が無い事を表すために、逆の
やり方で正座をすることもあります。
【武道に関わる用語③ 礼】
「礼に始まり、礼に終わる」、空手に限らずどの武道でもいわれる
言葉です。相手を思いやる気遣い(心遣い)を形に表したものです。
相手がいるからこそ、試合も稽古も成り立ちます。空手道はどんな
技術より、礼を重んじます。
礼には、立って行う「立礼」、正座で行う「座礼」があります。
空手道を通して学んだ「礼」を、普段の生活の中でぜひ生かしてい
きましょう!
【武道に関わる用語④ 武道】
「武」は戈(ほこ)を止めると書きます。戈とは、棒の先に剣のよう
な武器が付いたものをいいます。戈を止める、つまり人を傷つけるの
ではなく、身を守るために発達したのが武道です。
中学校では、2012年から武道が必修となり、主に柔道や剣道が採用
されていますが、柔道のような畳を必要とせず、剣道のような防具も要
らず、けがも少ないといった利点の多い空手道を採用する学校が年々増
えており、2018年度は261校に達しています。
【武道に関わる用語⑤ 間合い】
武道では、相手と自分との距離を間合いと言います。間合いを表す言葉は
「遠間とおま」・・遠い間合い
「近間ちかま」・・近い間合い
「間境まざかい」・・一歩(半歩)で攻撃が届く距離 適正間合いともいう。
などがあります。また、自分の有効攻撃の範囲を「自分の間合い」、
相手の有効範囲を「相手の間合い」と、いうことがあります。
【武道に関わる用語⑥ 押忍】
空手道や柔道、剣道など武道をする者同士の返事や挨拶は、押忍(オス)という
ことがよくあります。この意味について。
忍とは、「つらいことを我慢する。」ということです。「押して忍ぶ」。苦しい
ときこそ、自分の身や心を押し進め、耐え、自分をさらに鍛えていくということ
です。また、武道には「自我を抑えて我慢する」という精神が必要です。
「押忍」には、そのような意味が込められています。
【武道に関わる用語⑦ 残心】
空手の試合や練習でよく使われる言葉に「残心」があります。
心を残す、と書きます。自分の攻撃が終わった後も、心を相手に残し、いつ反撃が
あってもよいように備えるという意味があります。例えば、組手をしていて、自分
の技を決めたあと、相手に背を向けてしまったり、嬉しさのあまりガッツポースし
たりしては、ポイントとして認められません。一撃を入れた後も気持ちをゆるめず、
相手から目を離すこと無く、元の構えに素早く戻る事が大切です。形でも演武を終
えた後に残心を取り、静かに元の姿勢に戻り、正しい姿勢で礼をすることが基本で
す。
【武道に関する用語⑧ 居つく】
試合中などに、攻撃に対する迷いなどから動きが止まり、瞬間的な動作ができない状態を「居つく」と呼ぶことがあります。相手から見れば大きな隙(すき)であり、逃がしてはならない攻撃の好機です。逆に、わざと動きを止め、居ついたように見せて、相手に攻撃を出させたところに、合わせ技を出す方法もあります。
【武道に関する用語⑨ 空手に先手なし】
日本本土に、初めて空手を伝えた、松濤館空手の創始者、船越義珍先生の言葉です。これは、「空手を学ぶものは、自ら争いの元を作ってはならず、好戦的な態度を取ってはならない。和の道を求め、極力争いは避けること。」という意味が込められていると思います。日頃の生活の中にこそ、当てはまる言葉であり、実際の空手の試合では、先の攻撃がとても重要です。
「空手に先手なし」に対して、極真会の創始者である大山倍達先生は、「空手に先手あり、されど私闘なし」という言葉を残しています。
【武道に関する用語⑩ 百錬自得(ひゃくれんじとく)】
剣道でよく使われる言葉です。技は、繰り返し練習しなければ身につきません。何度も練習することで、体が技を覚えます。その意味で、何かを身につけるには、何度も練習を繰り返す必要があるということです。どこの道場でも基本を大切にし、何度も繰り返し練習をしているのはそのためです。繰り返しの練習で、「技」を身に付け、ねばり強くやりぬく「強い心」も育てていきます。ここでは「百」と数字が入っていますが、実際の稽古では、数え切れないほど多くの繰り返しが必要になります。
【武道に関する用語⑪ 目線と視線】
ともに、「目の向き。見ている方向。」という、ほぼ同じ意味で使われています。練習中、「目線(視線)!」と注意された経験をほとんどの会員が持っていると思います。特に基本や形をしているときは、相手が実際に居ないのでどこを見たら良いかわからないことがあると思います。組手のときに相手を見なければ、どうなるか。基本や形をするときも、相手がいると想定し、相手の目を中心にその動き全体を見ていくことが大切です。
【武道に関する用語⑫ 名人】
技芸に優れている人、またその分野で評判の高い人を「名人」ということがあります。名人とは、平常心を持って一切のことを成す人ということもできます。戦いの緊張の中で平常心を保ち、冷静に自己の最大の力を出すのは、並大抵のことではありません。それが出来る人、またその技能が優れている人こそ名人といえると思います。
【武道に関する用語⑬ 平常心】
日常の普通の心。特別なことのない落ち着いた心を平常心といいます。焦ったり緊張したりせず、予期せぬ事態に直面しても動じない心の状態です。怒りに自分を忘れてしまったり、恐れによって体を硬くしたりしては、きちんとした対応はできません。戦いの中でこそ、平常心を保ち続けることが大切であるという教えです。